宇宙人考(仮題)

「宇宙に知的生命体はいるだろうが、それは遠すぎて出会えない。だから地球に宇宙人(UFO)は来ていない」
ミクシィというSNSの、宇宙人に関するコミュニティを歩いていると、そう言う人をよく見かける。一見理屈は合っているように思えるが、それは本当に信頼できる考え方なのだろうか?。過去にこういうことがあった。
「火星は小さすぎて大気を繋ぎ止めれない。大気の脱出速度が地球の半分以下なので、すぐ宇宙空間に霧散して、最初から大気がほとんどなかった。なので生命は生まれない」
少なくとも10年前の日本ではこの説が幅をきかせていた。しかし80年頃、人面岩の存在を知らしめたディピートロとモレナーのグループは、その後も何人かの科学者が集まって研究を続けていた。海岸線を多く見つけたことから海が存在したこと、太古の火星には良好な環境があったことを突き止め、NASA内外で発表した。それは現在知られていることとほぼ同じであった。今では太古の火星に大気と海と磁場が存在した事は広く知られている。
つまり先端の科学者にとっては、「火星は小さいので太古からずっと大気がない」という考え方は全く説得力のないものに映っていたのだろう。おそらく「重い二酸化炭素の大気」「磁場の存在」「太陽の熱から離れている」この三つで簡単にクリアできるものだったと思われる。
日本では「全宇宙に生命は地球上だけではないだろうか」とさえ言っていた人もいた。今ではどのサイトを巡っても、そんな話は見事なまでに消され、「微生物ならいるかも」に直されている。
宇宙人が存在しても遠すぎて出会えない」はそれと同じ匂いがする。はたして先端の科学者は、それに説得力があると本心で思うのか、聞いてみたいものだ。

■トピーソ作「カマトト星人」(文章と関係なし)

「遠すぎて出会えない」に対する反論の一つを書いてみよう。
「行き来が不可能なほど遠い所に知的生命体がいる可能性もあるだろう。しかし近い所にいる可能性をなぜ排除するのか疑問である」。
雑な喩えで悪いが、仮に、エチゼンクラゲが大量発生した場所を調べてみたとする。「XY-ZZ」座標で発生したことが判ったとしよう。その場所で海域調査を行ったら原因が特定できた。しかしそれが改善されなければ今年もそこでクラゲが発生する可能性は高い。
このパターンを使うなら、広大な全宇宙空間には何かの原因があって、生命が育ちやすい座標空間が存在しているのではないだろうか。原因となる要素が変化しなければその場所に生命が大量発生することになる。そしてその中に地球が入っているというストーリーだ。
このストーリーなら、地球の近場に他の知的生命体が存在していても全然不思議ではない。ある程度の距離は離れていたり、それぞれの発生時期は違うけれども…とまあ、たわいもない反論だが自分ではなかなか気に入っている。