Geographic Explanation


まず三点ほど人工建造物らしきものを見てもらったが、一度このあたりの地形的説明をしてみたい。
今まで紹介してきた人工的地形があるエリアは、このマップでは長方形の場所である。このあたりは Simud Vallis−シムド谷と呼ばれている(厳密にはもっと細分化された名前が付いているようだ)。下方の丸く囲んだ場所は[Hydraotes Chaos] という地名で、ここから大量の水が噴出して矢印方向に流れ出し、シムド谷を形成した。このような地形をアウトフロー・チャネル(大洪水地形)と言う。水は更に北の低地へ流れ込み広大な海の一部となった。こうしたことは何度かあったらしい。というのも近隣に同様のアウトフロー・チャネルであるティウ谷やアレス谷があり、それぞれ水源の[Hydraspis Chaos] [Aram Chaos & Iani Chaos] というカオス地域があるからだ。
地形調査によりシムド谷はアレス谷より形成時期が新しい。これらのチャネルが形成された年代はヘスペリア代後期、ほぼ38億〜4億年前(※) と見積もられている。
※「〜4億年前」は34億年前の意味と思われるが、参考にした文献の記述通りにした。なお火星の地質年代区分はまだ流動的なようで、文献によっては区分の幅に若干の違いがある。