FAQ: 想定問答集(其ノ一)

Q:人工物というならなぜ地面と同じ赤い色をしているのか?

おそらくマグヘマイト(磁赤鉄鉱)と呼ばれる塵が一面に張り付いているからでしょう。その原因は砂嵐。火星では何十年かに一度は数ヶ月間全土を跨ぐような大砂嵐が起きています。例えば1971年、米国のマリナー9号が火星に到着した時、既に火星は大砂嵐の真っ只中であり、一ヵ月以上も軌道上で足止めされました。これは最大規模のもので、30年後の2001年にも同規模(三ヶ月間)の砂嵐が発生しました。半月〜一月程度の一段低い規模なら数年に一度の割合です。このクラスが仮に四年に一度起きるとして、一万年で2500回、一億年ならその一万倍。それだけ砂嵐に遭遇すれば、舞い上がる塵(マグヘマイト)が人工物に隙間無くびっしりと張り付いて同色に見えても不思議はないと思います。


Q:太古の昔の建造物とした場合、今まで原型を留めていられるものなのか?

確かに、地球上でのコンクリート建造物の寿命は約50年ほど。厳選された材料で念入りに施工しても100年が限界と言われています。しかし岩山をくり抜いたり、鉱物を建築材料にした場合、耐用年数は飛躍的に延びると思われます。現に数年前に鹿島など日本の建設会社複数が、特殊な鉱物を練りこみ、炭酸ガスを吹き付けて施工するコンクリート工法を開発して、その寿命は一万年と発表しています。もしかして火星の人工物にもこうした技術が使われていたかもしれません。
前述したように、火星では絶えず大規模な砂嵐が発生しますが、舞い上がる砂塵はパウダースノー状の微細なものが主体で、大気が薄く雨が降らない清浄な環境から、地球に比べて劣化が少ないのです。うろ覚えですがNASAは「火星上の二台のローバーは役目を終えた後、長期間(多分何世紀も)錆びずにその場に残るだろう」とコメントしていました。しかしそれでも数億年持つとは思えません。いつの日かローバーは、砂嵐の中の磁赤鉄鉱の粒子に、細かな穴を無数に開かされて崩れていくことでしょう。
さてアプローチを変えて考えれば、このシムド谷に最後に水が流れていた頃、これらの建造物は造られたのでは?。まだ水があった年代は出てないのですが案外、驚くほど最近(数万年前)のことかもしれません。トンデモですが今のところ僕はそう考えるしか説明がつかないのです。