火星の二酸化炭素

前回紹介した本『 火星の生命と大地46億年 』だけでなく、昨夜見たナショナル・ジオグラフィックのTV番組でも地質学者が火星についてこう説明していた。
「火星初期は今の地球とよく似た環境で温暖湿潤だったが、小さい惑星なので、すぐに冷えて乾燥していった(大意)」。
地質学者にすれば、火星初期が良好な環境であった事はもはや周知の事実となっている。しかしここで「地球より太陽から離れている火星がなぜ温暖なのか?」と疑問に思った人もいるだろう。
『 地球環境46億年の大変動史 』科学同人 田近英一著

この本によれば「惑星の表層環境は太陽放射、惑星アルベド(反射)、温室効果の三つの組み合わせで決定される」ようだ。
「金星は硫酸の雲に覆われていて、その為に太陽放射の77%を反射する。受け取る太陽放射エネルギーは22%で、地球よりずっと少ない。金星の表面温度は460度。その原因は95気圧に及ぶ二酸化炭素による温室効果にある」
「現在の火星大気は二酸化炭素だが0.006気圧なので温室効果が弱い。一時期温暖湿潤だったのは当時の大気環境が異なっていたことを示唆している」(以上要約)
つまり火星初期には分厚い二酸化炭素の大気があり、それが温室効果を生み出して温暖だったのだ。この本は地球に関する本なのだが両隣の金星と火星を例に出し説明してくれるので分かりやすい。