2010年における最終的な推理 -2-

火星の初期の6億年が、広大な海が存在する温暖で湿潤な環境であったことは先に述べた。
この「6億年」は2008年頃から多くの学者が一斉に言い始めたこと。概ね彼らは地質学者であった。火星探査機から送られる最新のデータを分析して数年、満を持して発表したのに違いない。もはや純粋な天文学系外惑星研究に追いやられたと言われるほど地質学の重要度は上がっている。今では惑星科学という名称が通りが良いようだ。
さてそうした地質学者達が解き明かした火星の歴史を時系列に織り交ぜながら僕のヨタ話をしていこう。
火星が誕生してから二億年ほど経つと、火星の地下でダイナモ対流が始まり磁場が発生した。それは現在の地球の約十倍強力だった。このことはマーズ・グローバル・サーベイヤーが南部の高地に接近したとき、強い磁力を有する複数の巨大岩体を発見したことから判った。磁場の誕生は有害な宇宙線から地表環境を守り、浅海に光合成生物が進出することを意味する。
■太古の火星想像図

この後の三億年間が火星にとって一番幸せな時代であった。
アリゾナ大に招かれているプルームテクトニクス理論の丸山茂徳博士は著書でこう書いている。「この時期、光合成生物の活動によって火星の酸素濃度は急増し、オゾン層が出来て、生命の陸上進出があった(要約)」。しかし知的生命体の誕生については否定する。地球の歴史と照らし合わせてみるならば三億年は余りにも短すぎるのだ。

僕としては、この時期に異星人が火星にやって来たと仮定するのが、一番話をまとめやすい。その異星人は大量の水と二酸化炭素の大気が気に入って複数の場所に基地を作った。その一つが後にシムド谷と呼ばれる場所であったのだろう。
では火星で何の作業をしていたのか?。いつか人類がシムド谷遺跡を訪れるならその手がかりの一端が見つかると思う。

火星が誕生してすぐに始まった温暖湿潤な6億年、磁場が発生して更に快適になった後半の3億年…幸せな時間は永遠には続かない。異変が火星を襲った。それは41億年前のことだった。