2010年における最終的な推理 -3-


約41億年前、今のユートピア平原(広範囲なクレーター跡)を作った天体衝突があった。それは火星の磁場を停止させたと最新の研究は指摘する。
「火星の磁場消滅、原因は巨大な小惑星」 National Geographic News
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=42104563&expand#title

しかしたとえその事件がなかったにせよ早晩火星の磁場は消えたようだ。前述の丸山博士によれば、「火星は小さい為に地球や金星より冷却速度が速く、ダイナモ組成対流を継続することが困難になっていた(要約)」とある。小惑星はとどめに落ちてきたようなものだろう。そしてそれを境にゆっくりと火星の環境は悪化していった。

磁場の消滅はまず大気層に影響した。高エネルギー荷電粒子や太陽プラズマが分厚い二酸化炭素の大気層を徐々に削っていった。薄くなった大気は有害な宇宙線を地上まで届かせて浅海の生物を絶滅させた。今まで表層を暖めていた温室効果は著しく減少し、火星は冷たく乾燥していった。更に氷河が現れ火星は凍結した。1〜2億年の間にそこまで悪化した。
当然こうなる事を予測して、異星人たちは基地を捨て火星地表から脱出していたはずである。軌道上の宇宙船にいて壊れていく環境に修復を計っていたのかもしれない。しかし惑星規模の変動はいかんともしがたく、ついにはあきらめたのだろう。
その後火山活動が活発になって各地で氷河部分が溶け、その水が北方低地に洪水となって流れ出し、一時的に広大な湖を形成した。それは何度も起こった。しかしそのときにはもはや異星人たちの姿はいなかった。
■シムド谷遺跡の一部

この氷河と洪水で無人の異星人基地のほとんどは破壊され流され土砂に埋まってしまった。唯一、入り江状地形の為に被害が少なかったシムド谷人工物を除いて。
to be continued